クライムズ・オブ・ザ・フューチャー 感想

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(CRIMES of the FUTURE)映画

本記事は、「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」のネタバレ感想または考察を再掲したものです。

公開日: 2023年8月18日 (日本)
監督 : デヴィッド・クローネンバーグ
音楽 : ハワード・ショア
制作国 : カナダ、ギリシャ
同監督の「裸のランチ」についての感想はこんな感じ

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー クローネンバーグ 映画

一番好きなシーン

※8/23 追記
ついに日本公開ということで炎天下丸の内ピカデリーにて鑑賞しました。
英語のみの事前鑑賞時とだいぶ印象が変わりました。

言語外メッセージを聞くと「エッチな映画」だったものが、言語的なメッセージは一貫して「何が人間を人間たらしめるのか」という哲学的な内容でした。本当にすいませんでした。いや、あやまらないゾ、だって映像はエッチだったもん!

冒頭のバケツを食べてしまう子供は、言ってしまえば「父親が受けた改造手術のせいでちょっと人と違うものを食べるように生まれてきてしまったら、人間ママから超キモがられて殺されたあげく、死後は”ちょっと人と違うものを食べるように生まれてくる”という多数派人類にとって不都合な事実を隠すために”改造手術を受けた元人間”扱いされる」と死後まで踏んだり蹴ったりな扱いを受けていました。

新しい臓器が生まれ、慣れた”人間”の概念から離れていくことを”進化”と呼ぶ一派との出会いや一連のドラマの中で、当初”進化”を拒むために臓器摘出していた主人公ですが、ラストで”進化”を受け入れるというのはすごくいいなと思いました。人間を人間たらしめるのは、食事の楽しみや痛みだけではないですものね。

生活や、イデオロギーが変化していくなかで、ミュータントの子供が秘密裏に殺されていくというのもいい話だなと思いました。全然いい話ではないんですけど。そうしなくて済む世界になったらいいですよね、その予行のために数多のSF映画があるのだと思っています(それだけのためじゃないけどね!)

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー 内臓

やっとわかったよ、映画の意味が

※以下、6月5日執筆分
日本公開に先立って、米版DVDでフライングしました。字幕もなく日本語の前情報も殆ど入れてなかったため、純粋に映像だけ楽しみました(えばって言うことではない)そのあと日本語のあらすじを読んで「わたしは、あらすじすら追えてなかった」と思いました。

というわけで、物語に関しては、まだなにも話せることがないため、8月の日本語字幕付き公開を待つしかないのですが、ひとつわかっていることがあります。

・・・・めちゃくちゃエッチな映画です。

ほぼ全編が「セックスの/セックス前の緊張感」に包まれています。
序盤の、バケツを食べている男の子、ブラインドから入る日差しの縞模様。なんでこんなにすべてがエッチなんでしょう、、、。

ときに、今回はじめて「物語がほとんどわからない」もののことを書いたのですが(あるはずだけど、わからない)物語がわからないことを、言葉で伝えるのってものすごく難しいんですね。難しいなと思いました。

わたしがラム酒の瓶を抱えて「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」を見ているときの、肌が泡立つ感じをどう伝えたらいいのか。足の指の間が永遠に広がってしまう感覚。背骨の脊柱の数が突然増えたり減ったりする感覚。内臓が甘く煮詰まる感覚。映画をみているときに味わった気持ちよさのひとつも伝えられないのがもどかしいです。

以下、禁止ワードが多すぎてらヘブンに書けなかったためnote限定公開です。

仕事柄、セックスのことをよく考えています。
わたしがヘルス型(挿入を伴わない性サービス)勤務なこともあり、”挿入を伴わないが確実に性行為である”とか、もっというと、”性器への刺激を伴わないが性行為であるとお互いに認識している”という状況がよくあります。
一緒にピアノを弾いたり、フーコーの話をしたり、ゆっくりドリップでコーヒーをいれたり、オセロをしたり、三角締めしたり、肩羽締めしたり、エビ固めしたりね( 途中からほぼM格闘の話 )
これらが性行為になり得るとき、”わたし”と”相手”が居て、よかったなと本気で思えます。

最近はもっぱら、VRとセーファーセックスのことを考えています。

完全に自分好みの刺激をプログラミング可能、フルオート、VRと連動可能な性玩具ができたとき、風俗を使うよりも限りなく安全で、約束されたクオリティの性体験ができるはずです。
そして、わたし達の仕事を奪うのは、おそらくVRなんじゃないかと本気で思っています(同業お姉さまたちに本当に怒られそうだけど)

わたしは「絶対安全でクオリティの担保されたセックス」は、本当に気持ちいのか?とずっと考えています。
生身の人間との性行為は体液交換である以上常に死のリスクを伴います。コロナ以降は人と2m以内で話す、ということがほぼ同じ意味を持っていました(最近は薄れてきましたね)
リスクがあるから、怖くて、気持ちいいんじゃないのか、蓋をあけるまでどっちに転ぶかわからないから、開けたくなるんじゃないか、とか、このことにはあまり答えは出ません。きっとしばらく考えていると思います。

クライムズ・オブ・ザ・フューチャーは、性器を接触させる以外のセックスを描いています。英語がわからなくてもそれはわかりました。
わたしが、未来のためにずっと考えている上記のことが、もう少し言葉にできるチャンスかもしれないと、ワクワクしました。風俗の未来のことも教えてよ、先生。

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